ダイノックシートを解説|特徴やメリット、費用、施工事例で解説
ダイノックシートとは?
ダイノックシートとは、3M社が製造する化粧塩ビシートの商品名です。正式名称は「ダイノックフィルム」といいます。
このシートは、建築や自動車などの様々な用途で使用されており、木目調や石目調、金属調など、リアルな質感のデザインが特徴です。ダイノックシートを使えば、古くなった表面を一新し、まるで新品のようなリフォームが可能です。
ダイノックシートは、傷や汚れに強く、防水性や耐候性にも優れています。そのため、インテリアデザインや外装仕上げ、壁やドアの装飾、家具のリメイク、キッチンリフォーム、自動車のカスタマイズ、看板や広告ディスプレイなど、様々な場所で装飾や保護の目的で使用されています。ダイノックシートは、リアルな質感と高い耐久性を兼ね備えた、建築および装飾分野で幅広く活用されている素材です。
3Mのダイノックシートに代表される化粧塩ビシートですが、他にも、リンテックの「パロア」、サンゲツの「リアテック」など、他のメーカーからも同様の製品が販売されています。
(下表)化粧塩ビシートの代表的な商品
メーカー | 商品名 |
---|---|
3M | ダイノックフィルム |
サンゲツ | リアテック |
リンテックサインシステム | パロア |
ダイノックシートの耐用年数は?
壁紙クロスの貼り替えのタイミングが5年~10年であるのに対し、ダイノックシートの耐用年数は10年以上と、 2倍以上の耐久性があります。さらに、ダイノックシートは傷や汚れにも強いため、日々の生活によるダメージにも強く、美観を保ちやすいのが特徴です。
また、屋外での使用にも対応した屋外耐候性のダイノックシートなら、垂直面での使用で約10年以上の耐候性を発揮します。ビルの外装、ルーバー、看板、扉やサッシなど、屋外の過酷な環境でも長く美観を維持することが可能です。
ダイノックシートのメリット
デザインが豊富!その数、900種類以上
ダイノックシートは非常に多様なデザイン、色、柄、模様を取り揃えており、その種類は900種類以上にも及びます。
木目調、石目調、金属調、カーボン調、ファブリック調、レザー調、和紙調など、幅広いデザインバリエーションを備えています。質感もリアルで、さまざまなデザインを忠実に再現できるため、デザインの自由度が高いのが特徴です。
木目調
ダイノックシートにはさまざまな種類の木目調デザインがあり、オーク、ウォールナット、マホガニーなどの木の風合いをリアルに再現しています。これにより、自然な温かみを持つインテリアを実現できます。
【主な木目調の種類】
アッシュ、ウエンジュ、ウォールナット、エルム、エボニー、コクタン、オーク、ゼブラウッド、チェリー、チーク、デザインウッド、マホガニー、メイプル
石目調
石のテクスチャーやパターンを表現したダイノックシートもあり、大理石、グラニット、石灰岩などの外観を実現します。高級感のある空間を作り出すのに役立ちます。
【主な石目調の種類】
ライムストーン、大理石、石化木、エメラルドパール、マーブル、サンドストーン、テラゾー、グラニット、コンクリート、モルタル、漆喰、左官、セラミック、タイル、テラコッタ、砂目
金属調
ダイノックシートには金属の質感や光沢を持つデザインもあり、ステンレススチール、真鍮、ブロンズなどの外観を実現します。これはモダンで洗練されたデザインに適しています。
【主な金属調の種類】
メタル、マット、ヘアライン、テクスチュアメタル、偏光、錆、メタリックウッド、箔
優れた耐久性能!傷や汚れに強く、防水性・耐候性が高い
ダイノックシートは、美観を向上させるだけでなく、優れた耐久性も兼ね備えた素材です。 傷や摩耗に強いため、人の往来が多く、物との接触が避けられない場所にも最適です。 オフィスでは、エレベーター、ドア、廊下、会議室の壁など、様々な場所で使用されています。
さらに、ダイノックシートは防水性と耐候性にも優れています。 水濡れや汚れが気になるキッチンやトイレなどの水廻り、日差しや風雨にさらされる屋外看板などにも使用されています。
曲面にも貼れる!ドライヤーで伸ばしR面にもキレイ貼れる
ダイノックシートは、その優れた伸縮性により、平面だけでなく曲面にもぴったりと貼ることができる素材です。
ドライヤーで温めることで、シートを柔らかくして、引き伸ばしながら貼れば、会議テーブルの天板の角やエントランスカウンター、オフィス家具の角など、さまざまな曲面にもキレイにフィットします。
このようにダイノックシートは、3D形状にも対応できる汎用性の高さから、内外装の施工に幅広く使用されています。
様々な下地に貼り付け可能!
ダイノックシートは様々な下地に貼ることができます。
ダイノックシートが貼れる下地の種類 |
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石こうボード、ケイ酸カルシウム板、モルタル、焼付塗装鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、アルミニウム、ステンレス、ガラス、シナベニヤ、ラワンベニヤ、MDF、塩ビ鋼板重ね貼り、メラミン板、ポリエステル板、アクリル、ABS、人造大理石、硬質塩ビ |
ダイノックシートのデメリット
下地の凹凸を拾いやすい
ダイノックシートの厚さは0.2mmであり、壁紙クロスと比べて薄くフラットなため、下地の凹凸を拾いやすいというデメリットがあります。そのため、美しい仕上がりを実現するためには、下地処理が非常に重要になります。
ダイノックシート貼り工事において、最も重要な工程が下地処理です。下地が汚れていたり、凹凸があったりすると、シートに凸凹が写り込んでしまい、仕上がりが悪くなります。そのため、以下の工程を丁寧に行う必要があります。
- 異物除去:釘やビス頭など突起物や付着物やゴミなどを除去する
- ケレン:スクレーパーやサンドペーパーなどで表面を研磨し、サビや古い塗料を落とす
- パテ処理:凹凸を埋めて、平らな表面を作る
施工費が高くなる
ダイノックシート貼り工事には、職人の高度な技術を必要とします。
まず前述したように下地処理工程に細心の注意を払う必要があります。また、貼り工程においても、ダイノックシートの粘着面に格子状のエア抜き構造が施されていますが、それでも完全に空気を抜きながら貼るには、プロの技術でなければ難しい作業となります。
また、継ぎ目の処理も極めて重要です。目立たない継ぎ目を実現するには、シートの位置合わせが欠かせません。さらに、デザインによっては柄合わせも必要となり、熟練の技量なくしては美しい仕上がりは望めません。
このようにダイノックシートは高品質な素材ですが、同時に熟練の施工技術を要するため、工事費用も比較的高額となる傾向にあります。
ダイノックシートの貼り方の工程
1.前処理(釘頭処理、サビや異物の除去)
釘やビスの頭など突起物の除去、サビや古い塗膜の剥離、付着物の除去など
2.シーラー処理
下地にシーラーを塗ることで、下地への吸水を調整し、下地からのアクやアルカリの浸透を防ぐ
3.パテ処理
下地の凹凸やへこみなどを埋める
4.表面処理(サンドペーパー掛け)
パテ処理した表面をサンドペーパーなどで平滑に仕上げる
5.表面清掃(アルコールorラッカーシンナー拭き)
ホコリや削りカス、油分などを、アルコールやラッカーシンナーを染み込ませたウエスで拭き取る
6.プライマー処理
プライマーを塗り、下地との接着性を向上させる
7.ダイノックシート貼り
プライマーが十分乾いたことを確認して、ダイノックシートを貼ります
オフィスでのダイノックシート貼り事例
会議室の壁をおしゃれにしたい
オフィスの会議室をおしゃれな雰囲気にしたいというご要望を受け、会議室の壁に木目調のダイノックシートを貼ることをご提案いたしました。ダイノックシートはキズや汚れに強く、イスの背もたれが壁に接触しても傷つくことがありません。そのため会議室の壁材としてダイノックシートを採用することをお勧めしました。木目調のダイノックシートを貼ることで、もともと無機質だった会議室が、温かみのあるおしゃれな会議室に生まれ変わりました。
【大阪市北区梅田 オフィス内装工事】
オフィスエントランスのドアをおしゃれにしたい
オフィスのエントランスを一新し、開放的で上質な雰囲気を演出しました。既存のドアを撤去し、新たに全面ガラス入りの鋼製ドアを設置しました。ドア本体とドア枠には、ウッドグレインのダイノックシートを貼り、木目調の高級感あるデザインに仕上がりました。
オフィスビルのエレベータをキレイにしたい
オフィスビルのエレベーターをキレイしたいというご要望をいただき、エレベータ内壁にダイノックシートを貼ることをご提案しました。日常的にキズが付きやすいエレベーター内をキズから守るために、ダイノックシートの機能製品「キズ防止フィルム」を採用しました(使用品番:FW-1294AR)。デザインはファインウッドの木目調を選び、高級感と落ち着いた雰囲気を演出しました。この改装によって、美しくおしゃれなエレベーター空間を実現することができました。
【大阪市北区堂島 エレベータ改装工事】
まとめ
ダイノックシートは優れたデザイン性と機能性を兼ね備えた化粧仕上げシートです。900種類を超えるバリエーションから、好みのデザインを選ぶことができ、木目調、石目調、金属調などさまざまな質感を表現できます。また、傷や汚れに強く、防水性と耐候性にも優れているため、内外装を問わず幅広い用途に使用できます。
一方で、下地の凹凸を拾いやすく、熟練の施工技術が必要なため、コストが高くなるというデメリットもあります。しかし、ダイノックシートを上手に活用することで、簡単にオフィス環境を一新し、理想のオフィスデザインを実現することができます。
オフィスのリフォームやリノベーションでは、ダイノックシートを上手に活用することで、空間に新しい価値と魅力を与えることができます。法人専門内装プロでは、大阪7区において数多くの施工実績があり、お客様一人ひとりのニーズに合わせたプランニングと、高品質な仕上がりを提供しております。ご提案・お見積もりは無料ですので、お気軽にご相談ください。豊富な経験と技術力で、理想のオフィス環境をお届けいたします。
よくある質問
ダイノックシート貼りの費用はいくらですか?
弊社での施工単価は、材料・施工費込みで、1㎡あたり6,000円~10,000円となります。
※材料の種類、面積、施工条件により変動します。
ダイノックシートが貼れない下地は?
無垢の木材、銅、真ちゅう、鉛、錫、軟質塩ビ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ゴム類、シーリング剤など。
一級建築士。国立大学工学部卒業後、中堅ゼネコンへ入社し、2001年に一級建築士の免許を取得。2007年にワンナップクリエイティブサービスへ入社し、17年以上オフィス移転やオフィス内装工事に携わり、お客様窓口、設計、現場対応までを総合的にサポートしている。