• オフィス内装工事コラム

岩綿吸音板とジプトーンの違い

岩綿吸音板とジプトーンの違い

オフィスの天井材としてよく用いられる岩綿吸音板とジプトーン。見た目がよく似ているため、どちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、岩綿吸音板とジプトーンの違いについて、見分け方や素材、吸音性、不燃性、施工方法、価格、塗装の可否など、さまざまな観点から解説します。

岩綿吸音板とジプトーンの見分け方

オフィスの天井材としてよく用いられる岩綿吸音板とジプトーンですが、見た目がよく似ているため、ぱっと見ではどちらなのか判断がつきにくいものです。

見分け方のポイントは、次の2つがあります。

模様の緻密さ

  • 岩綿吸音板は、表面に凹凸の模様が施されていますが、この模様は、音を吸収するためのもので、緻密で深いものになっています。

  • ジプトーンにも凹凸の模様がありますが、これは見た目のデザインであり、岩綿吸音板ほど細かい模様ではありません。

ビス頭の有無

  • 岩綿吸音板は、通常、下地のせっこうボードに接着剤と細いステープルで留められるため、固定された箇所の穴が目立ちにくいです。

  • ジプトーンは、一般的に天井下地材に直接ビスで留められるため、ビス頭が確認できます。

見分け方をまとめると

岩綿吸音板とジプトーンの見分け方をまとめると、以下のようになります。

天井材 模様の緻密さ ビス頭の有無(※)
岩綿吸音板 緻密 なし
ジプトーン 粗い あり

※施工方法や材料により異なる場合もあります。

画像 岩綿吸音板 天井材
岩綿吸音板
画像 ジプトーン 天井材
ジプトーン

岩綿吸音板とジプトーンの素材の違い

岩綿吸音板とジプトーンは、どちらも天井材としてよく用いられる建材です。しかし、見た目が似ているにもかかわらず、その素材は全く異なります。

岩綿吸音板は、ロックウールを主原料として、板状に成形したもので、吸音性があります。

一方、ジプトーンは、吉野石膏株式会社が製造・販売する天井用化粧せっこうボードの商品名です。せっこうボードは、石膏を主原料として板状に成形した建材です。ジプトーンの表面には、デザインとしてトラバーチン模様の不規則な穴が空いているのが特徴です。

天井材 素材
岩綿吸音板 ロックウール
ジプトーン せっこうボード

「ロックウールとは」

ロックウールは、製鉄プラントで副産物として生成される高炉スラグや玄武岩などの天然岩石を、1,500〜1,600℃の高温で溶かして均質な繊維状に加工した人造鉱物繊維です。原料が溶けた状態の温度が高いため、ロックウール自体も熱や火に強い特徴を持っており、断熱材や吸音材、耐火材などに幅広く用いられています。

「トラバーチンとは」

建築現場でよく「トラバーチン」と言う単語を耳にしますが、天井材でトラバーチンといえば、石材の一種であるトラバーチンの「模様」のことを指します。トラバーチンとは、大理石に分類される石材で、天然に採掘されるトラバーチンの緻密な縞状構造を模したデザインがトラバーチン模様といいます。

画像 大理石「トラバーチン」の模様
大理石「トラバーチン」の模様

岩綿吸音板とジプトーンの吸音性の違い

岩綿吸音板は、繊維状のロックウールを板状に成型したものです。このロックウールは、空気を含む多孔質な構造をしており、音が内部で反射を繰り返し、音のエネルギーを減衰して行きます。そのため、岩綿吸音板は、音を吸収する性質に優れています。

岩綿吸音板は、オフィスのエントランスや廊下などの天井によく用いられます。物が置かれないことで音が反響しやすいこれらの場所に岩綿吸音板を施工することで、音の反響を抑え、静かな環境を保つことができます。また、会議室などの天井に施工することで、音の反響を抑え、会話が聞き取りやすくなります。

吸音率は、周波数が高くなるほど大きくなり、ある周波数でほぼ一定となります。低音域では高音域に比べて吸音率が低くなりますが、厚さを増すことで対処することができます。

一方、ジプトーンの表面にも不規則な穴が空いていますが、これはあくまでもデザイン上の模様であり、その深さは浅く、吸音性はありません。

天井材 吸音性
岩綿吸音板 優れる
ジプトーン ない

岩綿吸音板とジプトーンの不燃性

岩綿吸音板とジプトーンは、どちらも不燃性を持つ建材です。吉野石膏㈱や大建工業㈱などの各種建材メーカーから、不燃認定を受けた商品が製造・販売されています。

天井材 不燃性
岩綿吸音板 あり
ジプトーン あり

岩綿吸音板とジプトーンの施工方法の違い

岩綿吸音板とジプトーンは、天井に同じように張られているように見えますが、施工方法には違いがあります。

ジプトーンは、天井下地材に直接ビス留めする「直張り工法」で施工されます。

ジプトーンは、表面にデザインを施したせっこうボードであるため、普通のせっこうボードと同様の施工方法が可能です。そのため、天井の木下地や軽鉄下地などの天井下地材に直接ビス留めして施工できます。

岩綿吸音板は、天井下地材にせっこうボードを張った上に、接着剤とステープル打ちを併用して施工する「捨て張り工法」で施工されます。

岩綿吸音板は、素材自体が柔らかいため、直接天井下地材にビス留めすることができません。そのため、天井下地材にせっこうボードを張り、その上に岩綿吸音板を施工します。

天井材 施工方法(※)
岩綿吸音板 捨て張り工法
ジプトーン 直張り工法

※なお、岩綿吸音板にも直張り工法用建材があります。施工方法は、設計仕様や材料により異なる場合があります。

岩綿吸音板とジプトーンの価格の違い

岩綿吸音板とジプトーンの価格の違いは、建材自体の価格だけでなく、施工方法による差もあります。

岩綿吸音板は、ジプトーンよりも建材自体の価格が高くなります。

また、岩綿吸音板は、建材が柔らかく、直接天井下地材にビス留めすることができないため、せっこうボードを下張りしてから、岩綿吸音板を張り付ける必要があります。この下張り工事により、施工費がさらに高くなります。

このように、岩綿吸音板は、建材自体の価格が高いだけでなく、施工方法による差も大きいため、ジプトーンよりも全体の価格が高くなります。

天井材 価格
岩綿吸音板 高い
ジプトーン 安い

岩綿吸音板とジプトーンは塗装できる?

ジプトーンは、基本的に塗装可能です。シーラーを下塗りすることで塗料の密着性を高めることができます。

一方、岩綿吸音板は、基本的には塗装を避けるべきです。なぜなら、塗装をすると、岩綿吸音板の表面に塗膜ができてしまい、表面の穴がふさがれ、吸音効果が無くなってしまうからです。

天井材 塗装の可否
岩綿吸音板 塗装は避けるべき
ジプトーン 塗装可

※岩綿吸音板を塗装できる特殊塗装もあります。

まとめ

岩綿吸音板とジプトーン、それぞれの特性や適用方法について詳しく解説しました。素材、吸音性、不燃性、施工方法、価格、そして塗装の可否など、両者の違いや適性を把握することで、天井材を選ぶ際の判断材料となるでしょう。各々のメリットやデメリットを理解し、ニーズや環境に合った適切な選択をすることが重要です。

法人専門内装プロでは、豊富な実績とノウハウで、オフィス内装工事における天井工事に関して、お客様のご要望に応じた最適なプランをご提案しております。

大阪7区で、オフィスの天井工事をご検討中なら、ぜひ法人専門内装プロにご相談ください。