床材の選び方:タイルカーペット/Pタイル/長尺シート/塩ビタイルを価格・機能で比較
オフィスの床材は大きく、タイルカーペット/Pタイル/長尺シート/塩ビタイルの4タイプで考えると比較しやすくなります。用途、清掃・メンテナンス、初期コストのバランスで適した床材を選びましょう。ここでは特徴と価格感をまとめ、選び方のポイントを解説します。
タイルカーペット
主な特徴
- オフィスで最も普及しているスタンダードな床材(採用実績が豊富で選択肢が多い)
- 柔らかく、足腰への負担が少ない/吸音性・断熱性に優れる
- ピールアップ工法(※下参照)で1枚単位の交換が容易(OAフロアとの相性◎)
- 執務エリアを土足禁止+スリッパで運用するなら相性◎。クッション性と断熱性で足腰の負担や底冷え、歩行音を抑えられます。
注意点
- シミ汚れは落としにくい(ただし汚れたピースだけ交換しやすい)
適した場所
- 執務エリア、会議室など
- OAフロアとの相性◎
- 室内の静けさや会話の明瞭さを重視する空間(吸音性あり)
(※)「ピールアップ工法」とは
ピールアップ工法とは、再剥離型の接着剤(ピールアップ糊)を下地に塗布し、床材を固定しつつも必要時にめくって再敷設できる施工方法です。初期接着性とズレ抵抗に優れ、乾燥後も粘着性を保つため、完全接着と比べてあとからはがして、また同じ場所に貼り直しやすいのが特長です。タイルカーペットなど1枚単位の交換を前提とする床材や、OAフロアでの床下配線の点検・やり替えが想定される環境に適しており、必要なときに部分的に剥がして作業し、敷き戻せます。撤去時に下地を傷めにくく、運用・メンテナンスの柔軟性を確保できる工法です。
Pタイル(単層塩ビ床タイル)
主な特徴
- 低コスト:材料単価が安く、広面積でも初期費用を抑えやすい
- 高い耐摩耗性:表面が硬く平滑で、台車・キャスターの走行抵抗が小さい。
注意点
- 弾力性がほぼないため、強い衝撃で割れ・欠けが起こりやすい
- 接着工法で貼るため、簡単に貼り直しはできない。(OAフロアとの相性△)
- 定期的なワックス掛けが必要。
適した場所
- 学校・工場・倉庫・バックヤードなど「高耐久・コスト・実用優先」のエリアに適している。
長尺塩ビシート
主な特徴
- ロール材で継ぎ目がない。ロールとロールの継ぎ目は溶接棒で溶着して一体化
- 耐水性・耐薬品性に優れ、継ぎ目がないので清掃がしやすい
- ノンワックス仕様を選べば、維持管理が楽
注意点
- OAフロアとの相性×:全面接着・一体貼りのため、OAフロアの開閉や配線変更ができない。
- 下地精度の要求が高い:不陸や目地・段差を拾いやすい。下地調整コストが増える。
- 施工難易度が高い:継ぎ目の溶着や納まりに熟練の技が必要。
- 局所荷重での凹み・跡:キャスターや重量物の点荷重で凹みが残ることがある。そのような場所では重歩行用を選択。
適した場所
以下のような「広い面積」「清掃頻度が高い」「水や薬品に触れやすい」場所に適しています。
- オフィス共用部:エントランス/通路/給湯室/トイレ(ノンワックスだと維持が楽)
- 医療・福祉施設、研究施設、商業施設、学校・公共施設
複層塩ビ床タイル(接着施工タイプ)
主な特徴
- 硬さ+一定の柔軟性で割れにくく丈夫
- 木目や石目などデザインが豊富で、高級感を出せる
- 製品によりワックスの要否が異なる
例)ロイヤルストーン/ロイヤルウッド:ワックス塗布が必要。
例)イークリンNW-EX:ノンワックスで軽清掃でもきれいを維持しやすい
注意点
- OAフロアとの相性×:接着工法のため、簡単に貼ったり剥がしたりはできない。OAフロアの開閉や配線変更ができない。
- 塩ビタイルは硬く音が反響しやすく、静けさや会話の明瞭さを重視する空間には不向き(Web会議室、コールセンター、音響スタジオ、下階への音配慮が必要な部屋など)
適した場所
デザイン性が高く、きれいを保ちやすい塩ビ床タイルは、人通りが多い場所や来訪者を招く場所に適しています。
- OAフロア以外のオフィスエントランス、通路、会議室など
複層塩ビ床タイル(置敷きタイプ)
主な特徴
- 多彩なデザインとリアルな質感で、高級感を演出できる。
- ピールアップ工法での施工のため、1枚ずつ剥がしたり再貼付が可能。OAフロアとの相性◎
- 厚みがあるので、OAフロアの目地を拾いにくい。
- ノーワックスなので、軽い清掃できれいを維持できる。
注意点
- 材料単価が高め。(次項比較表参照)
- 塩ビタイルは硬く音が反響しやすく、静けさや会話の明瞭さを重視する空間には不向き(Web会議室、コールセンター、音響スタジオ、下階への音配慮が必要な部屋など)
適した場所
ピールアップ工法で施工できるので、OAフロアの上に塩ビタイルを貼りたい場合は、置敷きタイプを使用。デザイン性が高く、きれいを保ちやすい塩ビ床タイルは、人通りが多い場所や来訪者を招く場所に適しています。
- OAフロアのオフィスエントランス、通路、会議室など。意匠性とメンテナンス性を両立
実勢価格の比較
※タイルカーペット(GA-100)=1.00を基準とした相対比較。
材料名 | 代表製品 | 厚さ | 価格指数(=1.00基準) |
---|---|---|---|
タイルカーペット | GA-100 | 6.5mm | 1.00 |
Pタイル | マチコV | 2mm | 0.45 |
長尺塩ビシート | マチュアNW | 2mm | 0.92 |
長尺塩ビシート(重歩行用) | ノンワックスリュームNW | 2mm | 1.16 |
複層塩ビ床タイル(接着施工) | ロイヤルストーン/ロイヤルウッド | 3mm | 0.99 |
ノーワックス塩ビ床タイル | イークリンNW-EX | 3mm | 1.39 |
複層塩ビ床タイル(置敷き) | ルースレイ50NW-EX | 5mm | 2.10 |
※上記は材料の実勢価格の目安です。副資材、施工手間、既存撤去費などは含みません。
※NW:ノーワックス仕様
まとめ
床材は、用途・使用状況・メンテナンス性・コストを総合的に見極めて選びましょう。床は視界占有率が高く、オフィスの第一印象を決定づける大きな要素です。エントランスや通路、応接室は、来訪者や求職者に企業のブランドイメージを静かに語る場所。だからこそ、企業イメージに合った素材・色・柄(きれいを保つメンテナンス性まで)を選び、清潔感と品位のある空間で好印象と信頼感を生み出しましょう。
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一級建築士。国立大学工学部卒業後、中堅ゼネコンへ入社し、2001年に一級建築士の免許を取得。2007年にワンナップクリエイティブサービスへ入社し、17年以上オフィス移転やオフィス内装工事に携わり、お客様窓口、設計、現場対応までを総合的にサポートしている。