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オフィス内装工事に伴う費用の勘定科目、会計処理ってどうするの?

オフィス内装工事に伴う費用の勘定科目、会計処理ってどうするの?

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オフィス移転やリフォームには内装工事が必要です。内装工事の規模によっては費用も大きくなることがあります。

しかし、内装工事費用の会計処理について理解が不十分なまま進めてしまい、節税の機会を逃してしまうケースも少なくありません。

この記事では、中小企業経営者や総務会計担当者の方に向けて、オフィスの内装工事費用の会計処理について解説していきたいと思います。

オフィス内装工事の会計処理には注意が必要

オフィスを移転したりリフォームしたりする際、オフィスの内装工事にかかる費用は、経費として一度に落とすことは難しくなっています。しかし、そのことを知らずに会計処理を行ってしまっている担当者の方もいらっしゃるようです。

オフィスの内装工事費用における会計処理のポイント

オフィスの内装工事を行った際には、経費として一括で計上できるものと、減価償却として耐用年数に渡って経費化していくものとに分かれます。

  会計処理方法 対象となる工事例
経費 経費として一括
  • 破損した壁や故障した空調を元の状態に戻す工事
  • クロス張替え、タイルカーペット張替え工事
  • 家具購入費やデザイン費、人件費など(金額の上限あり)
  • 不用品処分費用
  • 原状回復工事
減価償却 減価償却として経費化
  • 建物や建物付属設備に関するすべての工事
  • 使用可能期間の延長や固定資産価値を高める修理、回復工事

内装工事費用の中でも金額が大きい工事の多くは、減価償却として数年に分けて経費化することになり、経費として一括で計上することができません。さらに、減価償却は資本的支出となり固定資産とみなされるので、固定資産税の対象となります。このことにも注意が必要です。

A工事、B工事、C工事の費用負担と会計処理について

テナントに入居や退去をする場合、誰が内装工事費用を負担するかは、工事区分によって変わってきます。賃貸借契約では、A工事・B工事・C工事という区分で費用分担を決めることが多くなります。

A工事、B工事、C工事の違いとは

費用分担について理解するためには、A工事、B工事、C工事の違いを知っておくことが必要になります。

A工事 B工事 C工事
対象工事 ビル本体 専有部分のうち建物全体に影響を及ぼすもの 専有部分のうち建物全体に影響を及ぼさないもの
具体的内容
  • 建物の外装、外壁
  • 共用トイレ
  • エレベーター
  • 階段
  • 共用通路
  • 消防設備
  • 給排水設備(共用部)など
  • 分電盤
  • 給排水工事
  • 防水工事
  • 空調設備
  • 防災設備
  • 防水設備など
  • 店舗内内装工事
  • 什器備品
  • 照明器具
  • 電話工事等
  • 壁や天井のクロス
  • 床のタイルカーペット
  • 家具の取り付けなど
工事業者の指定 ビルオーナー ビルオーナー 借主
工事業者への発注 ビルオーナー 借主 借主
費用負担 ビルオーナー 借主 借主

B工事の場合には注意が必要

B工事とC工事の場合は、内装工事費を借主が負担することになります。それでも、C工事の場合は工事業者への指定を借主ができるので、低価格で行ってくれる業者を自分で選定することができます。

しかし、B工事の場合、借主自信が業者を指定できないので、工事価格が高くなりがちです。すると、経費計上する金額が大きくなるので、会計処理をする際には注意が必要になります。

B工事の場合は減価償却による会計処理で

B工事の工事内容は、勘定科目でいうと「建物附属設備」となることが多く、減価償却による会計処理が求められます。

賃貸物件の借主の場合、減価償却の耐用年数は、10年~15年とすることが一般的です。

国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」はこちら

オフィス内装工事の勘定科目について

オフィスの内装工事に関連する工事に該当する勘定科目を以下の表にまとめてみました。

  工事内容 勘定科目
減価償却 建物躯体に関係する工事(壁、床、天井工事等) 建物
  • 躯体に関係しない間仕切工事(パーテーション工事)
  • 電話工事
  • 照明工事
  • 分電盤、電気工事
  • 防災設備
  • 空調設備
  • 給排水工事
建物附属設備
経費
  • クロス張替え工事
  • タイルカーペット張替え工事
  • 塗装工事
  • 破損した壁や故障した空調を元の状態に戻す工事
  • 原状回復工事
修繕費
  • オフィス家具購入費
  • 移動可能なパーテーション
備品もしくは消耗品(補足説明はこちら)
デザイン費 諸経費(補足説明はこちら)
  • 移転作業費
  • 不用品処分費
雑費

オフィス家具購入費の勘定科目は、備品もしくは消耗品

オフィス家具購入費の勘定科目は、備品もしくは消耗品となります。

取得価格が10万円未満、もしくは耐用年数が1年未満の場合、消耗品として経費一括計上ができます。取得価格が10万円以上、もしくは耐用年数が1年以上の場合は、備品となり、減価償却の処理が必要となります。

※30万円未満の「少額減価償却資産の特例」もあります。

デザイン費は諸経費?

オフィス内装工事におけるデザイン費は、一般的に勘定科目は「諸経費」に分類されます。しかし、高額なデザイン費は、諸経費として認められないケースもあります。その場合は、工事内容に応じて「建物」や「建物附属設備」「修繕費」「備品」などに按分することとなります。

まとめ

オフィスの内装工事は、一括で経費として計上できるものと、減価償却資産として計上しなければならないものがあります。減価償却資産は、耐用年数や償却方法によって経費計上できる金額が変わります。また、法令は頻繁に変更されるため、最新の情報を確認する必要があります。会計処理を間違えると、税金の無駄払いや税務調査時のリスクが高まります。

オフィスの内装工事に関する会計処理は、複雑で分かりにくいものです。オフィスの移転やリフォームをした際には、会計士に相談し、最適な会計処理を行い、正しく節税効果を得るようにしましょう。

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